食品衛生の取組み.1(趣旨)

本マニュアルは、集団給食施設等における食中毒を予防するために、HACCPの概念に基づき、調理過程における重要管理事項として、
① 原材料受入れ及び下処理段階における管理を徹底すること。
② 加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌を死滅させること。
③ 加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること。
④ 食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること。
等を示したものである。

食品衛生の取組み.2(重要管理事項)
(1)原材料の受入れ・下処理段階における管理

(1)原材料の納入に際しては、缶詰、乾物、調味料等常温保存可能なものを除き、食肉類、魚介類、野菜類等の生鮮食品については1回で使い切る量を調理当日に仕入れるようにすること。

(2)野菜及び果物を加熱せずに供する場合には、流水(飲用適のもの)で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム(生食用野菜にあっては、亜塩素酸ナトリウムも使用可)の200mg/Lの溶液に5分間(100mg/Lの溶液の場合は10分間)又はこれと同等の効果を有するもの(食品添加物として使用できる有機酸等)で殺菌を行った後、十分な流水ですすぎ洗いを行うこと。

(2)加熱調理食品の加熱温度管理

加熱調理食品は、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うこと。

(3)二次汚染の防止

(1)調理従事者は、次に定める場合には、必ず手指の洗浄及び消毒を行うこと。
① 作業開始前及び用便後
② 汚染作業区域から非汚染作業区域に移動する場合
③ 食品に直接触れる作業にあたる直前
④ 生の食肉類、魚介類、卵殻等微生物の汚染源となるおそれのある食品等に触れた後、他の食品や器具等に触れる場合

(2)原材料は、隔壁等で他の場所から区分された専用の保管場に保管設備を設け、食肉類、魚介類、野菜類等、食材の分類ごとに区分して保管すること。
この場合、専用の衛生的なふた付き容器に入れ替えるなどにより、原材料の包装の汚染を保管設備に持ち込まないようにするとともに、原材料の相互汚染を防ぐこと。

(3)下処理は汚染作業区域で確実に行い、非汚染作業区域を汚染しないようにすること。

(4)包丁、まな板などの器具、容器等は用途別及び食品別(下処理用にあっては、魚介類用、食肉類用、野菜類用の別、調理用にあっては、加熱調理済み食品用、生食野菜用、生食魚介類用の別)にそれぞれ専用のものを用意し、混同しないようにして使用すること。

(5)器具、容器等の使用後は、全面を流水(飲用適のもの。以下同じ)で洗浄し、さらに80℃、5分間以上又はこれと同等の効果を有する方法で十分殺菌した後、乾燥させ、清潔な保管庫を用いるなどして衛生的に保管すること。なお、調理場内における器具、容器等の使用後の洗浄・殺菌は、原則としてすべての食品が調理場から搬出された後に行うこと。また、器具、容器等の使用中も必要に応じ、同様の方法で熱湯殺菌を行うなど、衛生的に使用すること。この場合、洗浄水等が飛散しないように行うこと。なお、原材料用に使用した器具、容器等をそのまま調理後の食品用に使用するようなことは、決して行わないこと。

(6)まな板、ざる、木製の器具は汚染菌が残存する可能性が高いので、特に十分な雑菌に留意すること。なお、木製の器具は極力使用を控えることが望ましい。

(7)フードカッター、野菜切り機等の調理機械は、最低1日1回以上、分解して洗浄・殺菌した後、乾燥させること。

(8)シンクは原則として用途別に相互汚染しないように設置すること。特に、加熱調理用食材、非加熱調理用食材、器具の洗浄等に用いるシンクを必ず別に設置すること。

(9)食品並びに移動性の器具及び容器の取り扱いは、床面からの跳ね水等による汚染を防止するため、床面から60cm以上の場所で行うこと。ただし、跳ね水等からの直接汚染が防止できる食缶等で食品を取り扱う場合には、30cm以上の台にのせて行うこと。

(10)加熱調理後の食品の冷却、非加熱調理食品の下処理後における調理場等での一時保管等は、他からの二次汚染を防止するため、清潔な場所で行うこと。

(11)調理終了後の食品は衛生的な容器にふたをして保存し、他からの二次汚染を防止すること。

(12)使用水は飲用適の水を用いること。また、使用水は、色、濁り、におい、異物のほか、貯水槽を設置している場合や井戸水等を殺菌・ろ過して使用する場合には、遊離残留塩素が0.1mg/L以上であることを始業前及び調理作業終了後に毎日検査し、記録すること。

(4)原材料及び調理済み食品の温度管理

(1)原材料は、別添1に従い、戸棚、冷蔵・冷凍設備に適切な温度で保存すること。また、原材料搬入時の時刻、室温及び冷凍又は冷蔵設備内温度を記録すること。

(2)冷凍庫又は冷蔵庫から出した原材料は、速やかに下処理、調理を行うこと。非加熱で供される食品については、下処理後速やかに調理に移行すること。

(3)調理後直ちに提供される食品以外の食品は病原菌の増殖を抑制するために、10℃以下又は65℃以上で管理することが必要である。
① 加熱調理後、食品を冷却する場合には、病原菌の発育至適温度帯(約20℃~50℃)の時間を可能な限り短くするため、冷却機を用いたり、清潔な場所で衛生的な容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20℃付近(又は60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げるよう工夫すること。
② 調理が終了した食品は速やかに提供できるよう工夫すること。
調理終了後30分以内に提供できるものについては、調理終了時刻を記録すること。また、調理終了後提供まで30分以上を要する場合には次のア及びイによること。
ア)温かい状態で提供される食品については、調理終了後速やかに保存食缶等に移し保存すること。
イ)その他の食品については、調理終了後提供まで10℃以下で保存すること。

③ 配送過程においては保冷又は保温設備のある運搬車を用いるなど、10℃以下又は65℃以上の適切な温度管理を行い配送し、配送時刻の記録を行うこと。また、65℃以上で提供される食品以外の食品については、保冷設備への搬入時刻及び保冷設備内温度の記録を行うこと。

④ 共同調理施設等で調理された食品を受け入れ、提供する施設においても、温かい状態で提供される食品以外の食品であって、提供まで30分以上を要する場合は提供まで10℃以下で保存すること。この場合、保冷設備への搬入時刻、保冷設備内温度及び保冷設備からの搬出時刻を記入すること。

(4)調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい。

(5)その他

(1)検食の保存
検食は、原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に入れ、密封し、-20℃以下で2週間以上保存すること。なお、原材料は、特に、洗浄・殺菌等を行わず、購入した状態で保存すること。

(2)調理従事者等の衛生管理
①調理従事者は臨時職員も含め、定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けること。検便検査には、従来の検査に加え、腸管出血性大腸菌O157の検査を含めること。
②調理従事者は下痢、発熱などの症状があったとき、手指等に化膿創があった時は調理作業に従事しないこと。
③調理従事者が着用する帽子、外衣は毎日専用で清潔なものに交換すること。
④下処理場から調理場への移動の際には、外衣、履物の交換などを行うこと。(履物の交換が困難な場合には履物の消毒を必ず行うこと)
⑤便所には、調理作業時に着用する外衣、帽子、履物のまま入らないこと。
⑥調理、点検に従事しないものが、やむを得ず、調理施設に立ち入る場合には、専用の清潔な帽子、外衣及び履物を着用させること。
⑦食中毒が発生した時、原因究明を確実に行うため、原則として、調理従事者は当該施設で調理された食品を喫食しないこと。ただし、原因究明に支障を来さないための措置が講じられている場合はこの限りではない。(毎日の健康調査及び月1回以上の検便検査)

(3)その他
①加熱調理食品にトッピングする非加熱調理食品は、直接喫食する非加熱調理食品と同様の衛生管理を行い、トッピングする時期は提供までの時間が極力短くなるようにすること。
②廃棄物(調理施設内で生じた廃棄物及び返却された残滓をいう)の管理は、次のように行うこと。
ア)廃棄物容器は、汚臭、汚液がもれないように管理するとともに、作業終了後は速やかに清掃し、衛生上支障の無いように保持すること。
イ)返却された残滓は非汚染作業区域に持ち込まないこと。
ウ)廃棄物は、適宜集積場に搬出し、作業場に放置しないこと。
エ)廃棄物集積場は、廃棄物の搬出後清掃するなど、周囲の環境に悪影響を及ぼさないように管理すること。